音を短く切って演奏するスタッカート奏法。
クラリネットのスタッカートの吹き方を知っていますか?
クラリネットのスタッカートは、音のおわりを舌で止めて短く切るのが一般的な奏法です。これが意外と難しいのです‥‥。
この記事では、クラリネットのスタッカートの吹き方を詳しく解説し、きれいなスタッカートができるようになるコツや具体的な練習方法を、解説していきます。
「クラリネットのスタッカートはいやだな、難しいな」と感じてしまっている方はぜひ読んでみてください!クラリネットのスタッカート奏法が上達するヒントが満載の内容になっています。
動画でも解説しています。
クラリネットのスタッカートとテヌートタンギングの違い
クラリネットのスタッカートの吹き方は、音のおわりを舌で止めて短く切ります。これはクラリネットの奏法の中でやや特殊な吹き方です。
改めて、テヌートタンギング(普通のタンギング)とスタッカートタンギングの違いをおさらいしておきましょう。
クラリネットのテヌートタンギング(基本のタンギング)の吹き方
クラリネットのテヌートタンギングは、音のはじめだけ舌をついて(リードに舌を触れて)演奏します。音の後ろは止めません。
クラリネットの基本のタンギング練習方法では以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
クラリネットのスタッカートの吹き方
クラリネットのスタッカートの吹き方は、音のおわりを舌で止めて、音を短く切ります。
基本的な舌のつき方(舌のつく位置やつく強さなど)は、テヌートタンギングのときと変わりありません。しかし、音を止めるときも舌をつくので、テヌートタンギングより倍の動作が必要になります。
音を短く切ると音と音の間にすき間ができることになりますが、すき間の時間も息は入れっぱなしにしてください。結果的に息の状態はロングトーンのときと同じで、ずっと同じスピード(勢い)で楽器に息を入れ続けていることになります。
スタッカートを息で切って短く切ると、連続したスタッカートや、音をとても短く切りたいときなどに対応できなくなってしまいます。クラリネットのスタッカート奏法は基本的には舌で切る方法でおこないましょう。
クラリネットのスタッカート吹きかたをマスターしよう!
スタッカートはどのくらい短くすれば良いかというと、「その音の2分の1程度の長さ」と楽典上で言われています。
曲のニュアンスによって変わってくることもありますが、基本のスタッカートの吹き方をマスターする上では、2分の1の長さを目指して練習してみましょう。
まずは音の後ろを舌でとめてみましょう
まずは、「舌で息の流れを止める」感覚を掴むことからです。
音をロングトーンして、舌をリードにあてて音を止めてみましょう。
そのときに、
・音を止めたときも息は入れっぱなし
・リードに舌をあてるときは(リードを)押さえつけすぎないよう
以上のことに気をつけましょう。
どうですか?リードに舌が触れると音は止まりますよね?
この動作を素早く、連続的におこなうことで、クラリネットのスタッカートの奏法が実現できます。
音を半分の長さにしてみよう
スタッカートがついている音符は半分の長さになります。
例えば、2分音符のスタッカートは、4分音符の長さ、4分音符は8分音符、8分音符は16分音符の長さになる、ということです。
まずは、メトロノームを鳴らして(4分音符=80くらい)、2分音符のスタッカートから練習してみましょう。実際は4分音符と4分音符ですね。上記の楽譜参考にしてみてください。
舌をリードにつけて音を止めることは、慣れてしまえばそこまで難しいことではありません。
それよりも、クラリネットのスタッカート練習のポイントは、音を止めるためにリードにつけていた舌を離すとき(音を出すとき)にあります!次の章で詳しく解説していきます。
クラリネットのスタッカートをきれいに吹くコツ
クラリネットのスタッカートに対して苦手意識がある方は少なくないと思います。
クラリネットのスタッカートをきれいに吹くコツはこれからご紹介することに集約されていますので、スタッカートがきれいに吹けないという方はこれらの中のどれかに原因があると考えられるでしょう。
クラリネットのスタッカートをきれいに吹くコツは、
・舌の動きは軽く
・息はしっかり入れる
・アンブシュアはキープ
以上のポイントに気をつけることです。ひとつずつ解説していきます。
舌の動きは軽く
スタッカートでは、ひとつの音に対して2回舌が動きますよね。(舌をリードから離して音を出すときと、舌をリードに触れさせて音を止めるとき)そのため、舌の動きはとても忙しいです!
舌に力が入っていると、喉にも力が入って音がうまく鳴らなかったり、タンギングがきつくなってしまうおそれがあります。
クラリネットでスタッカートを吹くときは、テヌートタンギングのときと同様に舌の力は抜いて、軽くついたり離したりしましょう。
舌で音を止めるときは、軽く舌に触れる程度で結構です。このときに舌で強くリードをおさえつけすぎると、次に舌を離すとき(音が出るとき)に破裂音みたいなタンギングになってしまう原因となります。
また、舌をリードから離す音の出だしのときには、舌をすばやくリードから離すと、きれいな出だしになります。スタッカート練習の際は、特に舌をリードから離す(音の出だし)のときの発音がきれいにできているか、よく聴きながら練習しましょう。アタックが強すぎても、逆に「トゥワー」としたはっきりしない出だしになってもいけません。
息はしっかり入れる
クラリネットのスタッカート奏法は、何度も舌つきをするので、音がどんどん詰まっていく傾向になりやすいでしょう。
きれいなスタッカートとは、舌をつく音が強すぎず、音のはじめがはっきりしている音です。これを実現するためには、先ほどご紹介した舌のつきかたとあわせて、息がしっかり正しい方向に入っている必要があります。
スタッカート練習をしていて、「音が詰まる」「きれいに吹けない」と感じた方は、いちどその音をロングトーンしてみてください。ロングトーンでしっかりと響く音作りをおこなって、その音と同じような音色で吹けるようにスタッカートも練習してみましょう。
タンギングをするときの息の大切さについては以下の記事で詳しくご紹介しています。スタッカートなどのタンギングをきれいな音色で吹きたい方は、あわせてご覧ください。
アンブシュアはキープ
スタッカートで舌を動かすたびに、アンブシュアがモグモグ動いてしまってはいけません。クラリネットのスタッカートのときに舌以外の場所(アンブシュア)が動いていると、音の出だしがブレてしまうからです。
スタッカートのときにアンブシュアが動いてしまう方は、鏡を見ながら、楽器をくわえて音を出さずに息を入れてスタッカートの動作をおこなってみてください。このときにアンブシュアが崩れていなければ、何度かこの動作を繰り返して身体に覚えさせましょう。
スタッカートは息の抵抗が大きくかかるので音を出すときにアンブシュアが崩れやすいです。アンブシュアが普段できているのにスタッカートになると動いてしまうという方は結構いらっしゃると思います。いちど鏡を見てチェックしてみてください。
スタッカートをきれいに吹けるようにする基礎練習の方法
ここでは、スタッカートの基礎練習を2つのパターンご紹介します。これまでご紹介してきた「クラリネットのスタッカートをきれいに吹くコツ」の内容を思い出しながら練習をおこなってみてください。
いずれの練習も低い音から高い音まで、いろいろな音域の音を使って練習してみてください。クラリネットのスタッカートは高い音になればなるほど難しくなるので、低い音域からはじめて、だんだん高い音に上がっていきましょう。
まとめ
・クラリネットのスタッカートの吹き方は、音のおわりを舌で止めて、音を短く切ります。
・クラリネットのスタッカートをきれいに吹くコツは「舌の動きは軽く」
「息はしっかり入れる」「アンブシュアはキープ」の3つです。スタッカートがうまくできないという方はこれらのポイントをチェックしてみましょう。