クラリネット上達にエチュード(教則本) を使った練習は必須です。「ローズ32のエチュード」は、クラリネット中級者からプロまでが愛用するクラリネットのエチュードの王道といえるでしょう。プロのクラリネット奏者が、なぜ口を揃えて「ローズ32のエチュード」をおすすめするのか?その秘密にせまっていきます!
クラリネット上達にエチュードが必要な3つの理由
クラリネットの基礎練習である「ロングトーン」「タンギング」「スケール」を練習したら、曲の練習……に行きたいところではありますが、もうひとつ大切なステップがあります。それは、エチュードです。
音大時代のレッスンは、50分のレッスンの中でエチュード20分、曲30分くらいでした。貴重なレッスン時間の半分をかけるほど、エチュードが重視されるのはなぜでしょうか。クラリネット上達にエチュードを避けて通れないのには訳があります。その理由は以下の3つです。
- 様々な種類のテクニックを集中的に練習できる
- 楽譜を読む力がつく
- 音楽的に演奏する力がつく
1. 様々な種類のテクニックを集中的に練習できる
エチュードは「このテクニックを上達させてほしい」という狙いのもと、作曲されていることが多いです。
例えば、「この曲は、スタッカートを徹底して練習してほしい」「たっぷりとレガートで歌えるようになってほしい」といった、練習のときに意識すべきポイントが凝縮されています。
クラリネットのエチュードを練習するときは、上達したいポイントを意識して練習すると良いでしょう。ひとつのことに注意する意識を高めることで、練習の質がぐっと上がりますよ。
2. 楽譜を読む力がつく
吹奏楽部の生徒さんをレッスンしているときに特に思うのですが、楽譜を正確に読むことができていない人がとてもたくさんいます。楽譜にはたくさんの情報がつまっています。音の高さとリズムだけではなく、テンポ、アーティキュレーション、表情記号などもきちんと読めていますか?
クラシック音楽において楽譜通りに演奏できることはとても大切なことです。大切なことは全て楽譜から読み取れます。楽譜を正確に読むことに慣れると、譜読みが途端に早くなります。エチュードは、楽譜にかいてあることを正確に演奏する練習にはうってつけです。
3. 音楽的に演奏する力がつく
クラリネットを演奏する楽しみは、音楽を表現することができることだと私は思っています。楽譜に書いてあることが正確にできるようになったら、しっかり歌って演奏することを意識することが大切です。
フレージングに注意して、機械的な演奏にならないように、楽しんでエチュードを演奏してみましょう。練習室の中で修行僧のように黙々と演奏するのではなく、人前で吹いていることを意識しながら練習するのがおすすめです。
エチュードがある程度吹けるようになってきたら、1曲を通して演奏する練習をしてみましょう。1曲通して演奏することで、体力も集中力もつきますし、本番に強くなる練習としてとても効果的です。
「ローズ32のエチュード」をクラリネット奏者がおすすめする理由
ローズ作曲のクラリネットのための32の練習曲は、クラリネット奏者になるには避けて通れない課題図書のようなエチュードです。私も高校生のときになんども繰り返し練習をし、ローズのエチュードからたくさんのことを学びました。
「ローズの32のエチュード」は1番から32番までの32曲の小曲からなり、奇数番号が緩やかなテンポの曲、偶数番号がテンポの速い技巧的な曲という構成となっています。どの曲も音楽的に素晴らしく、演奏していて楽しい曲ばかりです。
また、調性もさまざまになっていて、シャープ・フラット5つまでの16の調性の曲が集録されています。番号を重ねるごとに、調号が増えてきて難易度が上がってきます。さまざまな調性の曲を練習しておくことはとても大切な練習です。「シャープやフラットがたくさんつく調はいやだな」という気持ちを軽減させるためにも、さまざまな調性の曲をエチュードで吹き慣れておくと良いです。
ローズの32のエチュードを入試の課題としている音大はたくさんあります。私たちクラリネット奏者はきっとみんな、この「ローズの32のエチュード」を楽譜がボロボロになるまで練習してきました。クラリネットのレッスンの先生はこのエチュードに思いがあり、熱心にレッスンをしてくれるでしょう。何事を学ぶにおいても、多くの人が使ってきた教材を学ぶことは、成長効率が良く、有意義なことだと思います。
クラリネットのエチュードはたくさん出版されています。私はあまり知られていないクラリネットのエチュードを開拓するのが好きで、これまでに15冊以上のエチュードを練習してきました。さまざまざエチュードからさまざまな学びがありました。
しかし、ここまで網羅的で練習意欲を掻き立てられるのは「ローズ32のエチュード」だけです。実際、生徒におすすめするのも、自分が1番繰り返し練習したのも、この「ローズ32のエチュード」です。
クラリネットの腕が上がってきたなと感じている中級者以上の方に、自信を持っておすすめしたいクラリネットのエチュードナンバーワンです。
他にもおすすめのクラリネットのエチュード5選
とはいえ、クラリネットのエチュード選びで大切なことは、自分のレベルにあったものを選ぶことです。私が実際に愛用しているエチュードの中から5つおすすめさせていただきます。
初心者におすすめ
「ランスロ:26のエチュード」
楽器店に並ぶエチュードは難しいものばかりで、クラリネット初心者の方は「エチュードは私にはまだ早い……」なんて思っていませんか?クラリネットを始めたばかりの方でも、エチュードの練習はしたほうが良いです!ランスロ26のエチュードは、私が初心者におすすめするクラリネットのエチュードナンバーワンです。
・ローズの前に練習しておきたい
「クローゼ:クラリネットのための日課練習」
こちらのエチュードもクラリネットの上達には欠かせない定番の一冊となっています。ローズの32エチュードは少し難しいと感じた方は、「クローゼ:クラリネットのための日課練習」を練習すると良いでしょう。基礎的なテクニックを徹底的に磨ける内容となっています。
芸大入試でも課題
「ジャンジャン:クラリネットのための段階的な旋律練習曲」
こちらのエチュードは、最近の東京芸大の入学試験の課題にもなっています。「THE 練習曲!」という感じではなく、どの曲もメロディックに歌いながら演奏することが求められます。第1巻〜第3巻まであり、番号を重ねるごとにだんだんレベルが上がっていきます。
上級者向け
「カヴァリーニ:30のカプリス」
こちらはローズの32エチュードより、テクニック的にレベルが高くなっていると思います。カプリスはイタリア語でて“気まぐれ”という意味です。テクニカルな曲が続きますが、しっかり歌うことを忘れずに練習しましょう。この曲も音大入試で使われることが多く、私のカヴァリーニの楽譜はページがめくれないほど、しっとりしています…。
より専門的な技術をつけるための
「ウール:クラリネットのための48の練習曲」
ウールのエチュードは音大に入学して、まずはじめに先生にすすめてもらったエチュードです。上巻と下巻からなり、それぞれに24曲ずつ集録されています。48曲練習するのは一苦労でしたが、それだけ力がついたと思います。テクニックに磨きをかけたいかたは挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
クラリネットでエチュードを練習することは、とても大切なステップです。クラリネットを専門的に勉強しようと思っているかた、クラリネットをもっとうまくなりたいと思っているかたには「ローズ32のエチュード」をおすすめします。エチュードには、クラリネットを上達させる上で大切なことがたくさんつまっています。自分のレベルにあったエチュードをうまく活用して、楽しみながらクラリネットの技術に磨きをかけましょう。
ココナラでクラリネットに関するお悩み相談をおこなっています。クラリネットのエチュードに関してのご相談もお気軽にどうぞ。
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