チューニング

クラリネットのチューニングの基礎知識|バランスよく音程をとるコツ

こんにちは。クラリネットのクズシマです。

クラリネット吹きは自分にあったチューニングの方法のコツをつかんでいないと、すべての音の音程をきれいに合わせるのが難しいでしょう。

なぜなら、口で音程を変えるのが難しい楽器なので、チューニングのやり方次第で全体の音程の良し悪しが大きく左右してしまいまうからです。

この記事では、クラリネットのチューニング方法を詳しく解説していきます。以下の内容を順にご説明していきます。

・クラリネットのチューニングのやり方(チューニングの音、合わせかた)
・クラリネットのチューニングのときに管を抜く方法
・管を抜いて良い場所、抜きたくない場所
・全体の音程バランスをとるコツ

クラリネットのチューニングはどうやってするの?

クラリネットのチューニングは基準の音を吹いた時に、音程が高い場合は管を抜き、低い場合は管を入れます

チューニングをするときは音程を無理に口で調節せず、自然に吹くようにしましょう。自然に吹いた状態での音程が高ければ、管を抜きましょう!

オーケストラなどのプロの現場ではほとんどA(アー)の音が基準の音として使われます。B管クラリネットでは「シ」の音です。

吹奏楽などではBの音、クラリネットの「ド」の音が基準の音となります。

基本的にはこの音を基準に、管を抜いて全体の音程を合わせます。

しかし、シやドの音がほかの音に比べて「低くなりやすい」「高くなりやすい」というクセがある人は、無理してこの音がぴったり合いやすいように抜く必要はないと思います。

大切なことは、すべての音の音程が合わせられるようにチューニングをすること、つまり管を抜きさしすることです

抜くってなんのこと?と思われている方もいらっしゃるかもしれませんので、次からはクラリネットの「管を抜く」ことについて詳しく解説していきます。

クラリネットのチューニングで管を抜く方法

クラリネットは音程を口の具合で変えるほかに、管を抜いて合わせることが可能です。クラリネットはマウスピース、バレル、上管、下管、ベルが組み立てられてできています。

チューニングで音程を低くしたいときは、主にバレルと上管の間を少し広げ(抜き)ます。なぜこの場所を抜くかは、あとで詳しく説明しますね。

クラリネットの管を抜くと低くなる理由

基本的に楽器は長くなると音が低くなります。クラリネットで管を抜くということは、楽器を長くすることになりますよね。結果、音程が低くなるのです。

管が長くなると、なぜ音程が低くなるかということについてはこちらの記事で詳しく説明しています。気になる方はチェックしてみてください。

クラリネットのチューニングで抜く場所

先ほど、クラリネットのチューニングのときは「バレルと上管の間」と書きましたが、ほかの場所を抜くことも可能です。

下管とベルの間

例えば、下管とベルの間を抜くことも可能です。私も、あまりにも高くて、バレルと上管の間をこれ以上抜けない、というときはまれに下管とベルの間を抜くときもあります。しかし、ごくまれです。なぜかというと、下管とベルの間を抜いてもあまり音程が変わらないからです。

上管と下管の間

プロの中でもチューニングの時にクラリネットの上管と下管の間を抜く方はいらっしゃいます。

ですが、私は抜きません。なぜかというと、上管と下管の間は1ミリでもずれると音の出方に影響してしますからです。同じ理由で中高生に教えるときなどにも、上管と下管の間を抜くことを勧めません。

クラリネットの初心者の方や、上管と下管のコルクが緩めの方はこの場所を抜くのは避けた方が無難です。

マウスピースとバレルの間

マウスピースとバレルの間を抜くのはおすすめしません。なぜなら、口元の接続が不安定になったり、スロートの音域(開放のソ〜シ♭辺り)の音程が下がりすぎてしまうからです。それに、見た目もカッコ悪いです。

そんなに抜かなければ、音程が合わないようでしたら、バレルの長さを変えるという選択肢もあります。

主にバレルと上管の間を抜きましょう

以上の理由から、私は主にクラリネットのバレルと上管の間しか抜きません。しかし、この場所も抜きすぎるとネックの音の音域が下がってしまいますので抜きすぎには注意しましょう。

クラリネットはチューニングのときにどのくらい抜いて良いか

クラリネットをチューニングする時に、管を抜いて音程を低くするのには限度があります。クラリネットは夏場など気温が上がる時期には音程が上がりやすいですが、チューニングの時に管を抜きすぎてしまわないように気をつけましょう。

楽器の接続が不安定になるため、コルクが見えるほど管を抜いてはいけません。それに、クラリネットは管を抜いた時にすべての音が平等に低くなるわけではありません。

先ほどの章でも触れましたが、バレル付近の管を抜くと、スロート音域(開放のソ〜♭シ)が他の音程より大きく影響されます。

チューニングの音に合わせて抜きすぎると、スロート音域が通常より低くなって音程が取りにくくなるおそれああるのです。次は全体の音程をバランスよくとるコツを解説します。

チューニングでクラリネット全体の音程バランスをとるコツ

クラリネットは楽器によって音程のクセがありますよね。自分の楽器の音程のクセを理解して、自分にあったチューニングの抜き方を見つけましょう。

開放のソとラの音程に着目

クラリネットは楽器によって音程のクセが違います。特に、開放のソの音と、そのすぐ上のラの音は音程が高くなりやすかったり低くなりやすかったりが楽器によって違うでしょう。このふたつの音がバランスよく音程が取れるように管を抜くと良いです。

チューニングのテクニック

チューニングは基本的にはチューニングの音(Aなど)で合わせるのが基本です。ですが、全体の音程を上手くとるコツとして、開放のソの音も含め、スロート音域全体の音程が高くなりやすい人は、バレル部分の管を多めに抜くと良いです

ソは低いけど、ラは高いという方は、ラは穴を塞ぐなど指で音程を下げるようにして、管を抜きすぎないようにしましょう。バレル部分を抜くとソの音は大きく影響されて他の音にくらべて音程が下がってしまいます。チューニングの音もソの音も無理なく音程が合う抜き具合にしましょう。

まとめ

・クラリネットのチューニングはAの音(吹奏楽などではBの音)を基準として合わせます。音程を低くしたい時に、管を抜きましょう。

・クラリネットのチューニングで抜く場所は、バレルと上管の間がおすすめです。抜くのはほんの数ミリで、コルクが見えるまで抜いてはいけません。

・基本的にはチューニングの音を基準にして音程を合わせますが、全体の音程をバランスよく取れることが一番重要です。特にスロート音域との関係性も意識して抜き具合を調節すると良いでしょう。

管楽器のチューニングで、管を抜くと低くなる理由

楽器は基本的に管が長くなると低くなります。

そのため、管楽器のチューニングで管を抜くと、楽器が長くなるので、音程が下がります。

基本的にこれさえ覚えていれば、問題ありませんが、以下、物理的な理由をご説明します。

音は振動数で高さが決まります。高くなればなるほど同じ時間あたりの振動数が多くなり、低くなればなるほど振動数が少なくなります。

管が短いと振動できる距離が短くなるので、振動数が多くなり、管が長いと振動できる距離が長くなるため、振動数が少なくなります。

以上の難しい話はさておき、こちらの例で考えると、覚えやすいです。

例えば、リコーダーを思い浮かべてみてください。ソプラノリコーダーより、音域の低いアルトリコーダーのほうが長いですよね。フルートより短いピッコロは音程が高く、クラリネットは、普通のクラリネットよりバスクラリネットのほうが長くて大きいですよね。

管楽器のチューニングで音程を低くしたいときは、(振動数を少なくするために、振動する距離を長くするため)楽器が長くなるように管を抜きましょう