クラリネット上達法

鳴りムラがなくなる!クラリネットのレジスターキー練習方法【楽譜付き】

クラリネット音色をきれいにするには「鳴りムラがない」音作りが必要です。クラリネットは音によって鳴りやすい音と鳴りにくい音がありますよね。低い音から高い音まですべての音域をきれいに響かせられるようになると、クラリネットの音色は良くなります。

クラリネットの音色を良くする練習法のひとつに「レジスターキーの練習」があります。このコラムではクラリネットのレジスターキー練習の方法と、レジスターキーの練習をより効果的におこなうためのポイントをお伝えしていきます。

「クラリネットの音色をきれいにしたい」「鳴りムラをなくしたい」という方は、このコラムを読んで、基礎練習にレジスターキーの練習方法をとりいれましょう。

クラリネットのレジスターキーの練習を正しい方法でおこなう効果

クラリネットのレジスターキーの練習を正しい方法でおこなうと、

・低い音も高い音もきれいに吹けるようになる
・響きがそろい、鳴りムラがなくなる
・跳躍が上手くなる

以上のような効果があります。これらの効果をしっかり出すための方法は、コラムの後半の「レジスターキー練習のときに気をつけること」のところで詳しく解説していきます。

クラリネットのレジスターキー練習って?

クラリネットのレジスターキーの練習のやり方を楽譜と共にお伝えしていきます。クラリネットにはレジスターキーというものがついていて、それをおさえることで音域を変えられるのです。クラリネットのレジスターキーを使いこなしてクラリネットの音色を磨きましょう!

レジスターキーとは?

そもそもレジスターキーとは、クラリネットの裏側にあるキーのことです。

クラリネットのレジスターキー

このキーをおさえると、おさえていないときより、「1オクターブと5度」高い音が出ます。フルートやサックスでは、そのキーをおさえると1オクターブ音が上がるオクターブキーと呼ばれるものがありますが、それに対してクラリネットのレジスターキーは、1オクターブ半なので跳躍の幅が広く、きれいに吹きこなすのが難しいでしょう。

「ド」の運指にレジスターキーをおさえると1オクターブと5度高い「ソ」の音が出ます。

レジスターキー練習方法

レジスターキー練習は、レジスターキーをおさえない低い音から、レジスターキーをおさえる高い音へきれいに移行できるようになるための練習です。

下の音(レジスターキーをおさえない音)を4拍のばしたら、レジスターキーをおさえて上の音になめらかに跳躍し、その音も4拍のばしてください。以下の楽譜のように半音ずつ上がっていきます。

楽譜のpdfファイルはこちら

レジスターキー練習のときに気をつけること

クラリネットのレジスターキーの練習はただおこなうだけでは効果はありません。ここからはレジスターキーの練習の効果を高めるために、気をつけるべきポイントについて解説していきます。

レジスターキーを押すとき(高い音に移るとき)に息をひかないこと!

レジスターキーの練習をするときに陥りがちなことのひとつに、「音が移るときに息の入れ方を変えてしまう」ということがあります。

レジスターキー練習の目的は、レジスターキーをおさえていない音とレジスターキーをおさえている音が同じ息同じ響きで吹けるようになることです。

これからご紹介する、レジスターキー練習のときに気をつけるべきことのチェックポイントを確認していきましょう。

指をおさえるときに無意識に息を変えていませんか?

上の音に行くときに「音が開いてしまうのではないか」「高い音が飛び出してしまわないように」と思って、無意識に息を引いていませんか?

レジスターキーの練習は、下の音も上の音もすべて同じ息でおこないましょう同じスピード、同じ方向への息が原則です。

もしも、「下の音を吹いている息のままレジスターキーをおさえると、上の音が出ない」という場合は、下の音を吹いているときの息が緩すぎるのかもしれません。下の音のときもスピードのある、まとまった息で吹く必要があります。

息の方向(向き)についてですが、上の音に行くときに、若干舌の位置を変えて調節する必要があるかもしれませんが、基本的には下の音も上の音も同じ方向を狙って吹けるようにしましょう。

指をおさえてもらってクラリネットを吹いてみよう!

クラリネットを吹くときに、指の動きと連動して息が変わってしまうクセがついてしまっていると、なかなかそのクセを取るのは大変かもしれません。そんなときは、今からご紹介する方法を試してみてください。

マウスピースを180度反対方向に回し、バレル(タル)を手で持って自分は吹くだけ、もうひとりに手伝ってもらい、指を動かしてもらいます。

例えば、レジスターキーの「ドーソ」をこの方法でおこなうとしたら、吹いている人は「ド」の音を吹き続けるつもりで息をしっかり入れます。

指を動かす人がいつレジスターキーをおさえるかわかりませんよね?

しかし、息がしっかり入っていたらレジスターキーをおさえてもらうだけで高い「ソ」の音が低い「ド」の音と同じ響きできれいに出るはずです。

つまり、クラリネットの響きがそろわなかったり、鳴りムラがあったりするのは、自分が無意識に息を引いてしまうなどして、息がキープできていないことに原因があるということです。

この方法でつかんだ響きの感覚をしっかり覚えておきましょう。

レジスターキー練習の効果

レジスターキー練習は鳴りムラをなくすのに効果的です。クラリネット吹くときは、支えられた息で吹くことが求められます。

曲を吹くときなど、いちいち息を変えていられません。ひとつの息で低い音も高い音も出せるようにする必要があります。クラリネットのレジスターキーの練習は基本の息作りの練習だと思っておいて下さい。

レジスターキーの練習を正しい方法でおこなうことによって、鳴りムラをなくし、低い音から高い音まできれいにクラリネットを響かせられるようになります。

まとめ

クラリネットのレジスターキーの練習は鳴りムラをなくし、低い音から高い音まできれいに響かせられるようになる基本の息づくりの練習です。

レジスターキーをおさえて上の音に跳躍するときに、息のスピードや方向が変わってしまわないように気をつけましょう。

レジスターキーの練習を正しくおこなえば、音色改善にとても効果がある練習ですので、基礎練習に取り入れてみましょう!

クラリネットの音色を良くするために、まずはじめにするべきこと

クラリネットの「音色が良い」「音がきれい」というのは具体的にどんな音だと思いますか?

クラリネットの音色を良くするためには「こんな音で吹きたい」というイメージをもつことが大切です。

例えば、一流の料理人の方は、一流の料理の味を知っていますよね。料理を上達させるにはテクニックも大切ですが、良い味を知っているという「感覚」の部分は必須です。これはクラリネットの上達にも同じことが言えます。

基礎練習をしたり、リードを選んだりするなど、クラリネットの音色を良くするためにやるべきことはたくさんあります。しかし、まずはクラリネットの良い音を知ることが大切です。

このコラムでは、クラリネットの良い音とはどんな音なのか解説し、クラリネットの良い音の感覚を手に入れる効果的な方法をお伝えしていきます。

クラリネットきれいな音色とは

クラリネットのきれいな音色の定義はさまざまです。「柔らかい音」「丸い音」など抽象的な表現はいろいろできると思うのですが、きれいな音色はこの音だ!という絶対的な答えはありません
音色は人によってそれぞれ個性がありますし、良いと思う音色の価値観も異なります。

はっきりとした答えのない「クラリネットのきれいな音色」ですが、ここでは明確に言葉にできるクラリネットのきれいな音色の定義を4つあげてみました。

響きがある

クラリネットきれいな音色や良い音というのは、しっかりと響いています。きれいな音は、強い音のときも弱い音のときも響きがあります。音量にかかわらず、遠くまで響く音を目指しましょう。

鳴りムラがない

クラリネットには鳴りやすかったり、鳴りにくかったりする音がありますよね。しかし、良い音のひとつの定義として、どの音も均一な響きで吹ける、つまり鳴りムラがないことがあげられます。この音はきれいだけど、この音は汚いということではいけません。全ての音の音色や響きが揃うように音作りをしていくことが必要です。

雑音がない

ザーザーという音がしたり、マウスピースの外に息が漏れてシューっといったり、クラリネットの本当音以外雑音がする音はきれいな音色とは言えません。雑音が鳴らないリード選びや、息の入れ方を目指しましょう。

音程が良い

「音色がきれい」ということとは少し違うかもしれませんが、「クラリネットの良い音」である条件として音程が良いことは大切です。
持っている音色そのものがきれいでも、音程の悪い演奏を聴いて「音がきれい〜」という感想を持つ人はあまりいないでしょう。歌を歌うときのように、常に正しい音程を頭の中で歌いながらクラリネットを吹くようにしましょう。

クラリネットの音色を良くするには、良い音を知ることが大切

吹奏楽部でクラリネットをはじめた人の中には、「クラリネットの音は先輩の音しか聴いたことがない」という方いるかもしれません。クラリネットの音色を良くしたいなら、クラリネットの良い音をたくさん聴くことをおすすめします!

きっとプロの演奏の中でも「この音色が好きだな」「こんな音色の人もいるんだなぁ」という発見があると思います。このようにたくさんの良い音を聴くことで、感性を磨き、自分なりの理想の音を追い求めることこそがクラリネットの音色を良くするにあたって1番大切なことです。

クラリネットの音色を良くするための道具や練習方法はいろいろあります。
しかし、良い音色がどんなものか知らない人が、音色が良くなる方法の部分だけをおこなっても、おそらく効果はないでしょう。

クラリネットの良い音色を聴いたことがないのに、きれいな音色で吹けてしまうことは、まずありえません。クラリネットの音色を良くするためには、たくさんの演奏に触れて、感性を磨き続けることが重要です。

良い音を生で聴くことが1番効果的

YouTubeなど、インターネット上で気軽に素晴らしいクラリネットの演奏がたくさん聴ける時代になりました。いろいろな演奏を聴いて、自分のお気に入りのクラリネットの演奏を見つけてみると楽しいですよ。

「録音でのクラリネットの演奏」を聴くのも充分良いことなのですが、クラリネットの音色を良くするのに1番効果的なのは「生演奏」を聴くことです。

クラリネットの良い音色を生で聴く方法は大きく分けてふたつあります。コンサートに足を運ぶことと、レッスンなどでプロの方などの音に近くで触れることです。

コンサートに行こう!

クラリネットの良い音はぜひ生で聴いてみてください。録音の演奏だけでは味わいきることのできない「響きの感覚」をつかめるはずです。

世界的に有名なクラリネット奏者の演奏会を聴きにいければ良いのですが、そうでなくてもクラリネットのコンサートはいろいろあります。お近くの演奏会情報を調べてみて、気になる演奏会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

音大に入ったときに、いろいろな先生から「たくさん演奏会にいきましょう。良い演奏を知っている人だけが良い演奏ができます。」ということを何度も言われました。

たくさんの素晴らしい生演奏を聴くことは楽しいですし、毎回発見があるはずです。クラリネットの音色を良くしたいなら、コンサートを聴きに行って、本物の音楽にたくさん触れましょう。

良い音の人と一緒に吹いてもらう

「自分の音色はまぁまぁきれいかな」と思っていたのに、クラリネットの先生と同じ場所で音を鳴らしたら、「あれ?自分の音がしょぼい‥‥。あんまり良い音じゃない‥‥」と感じる経験を私は何度もしてきました。

コンサートを聴きにいったときは、自分の音とプロの音をその場で比較をすることができませんが、レッスンを受けるときなど、良い音の人と同じ場所で吹く機会があれば、音色が良くなるチャンスです!

クラリネットの良い音に直接肌で触れて、その音を真似するように練習していけばクラリネットの音色は良くなります!

レッスンを受けている生徒が先生の言っていることを一生懸命メモしている姿を良くみます。それ自体は素晴らしいことなのですが、1番聴くべきことは言葉ではなく、です。クラリネットのレッスンを受けるときは先生の音を聴くことが1番、勉強になると思います。

自分の音と、クラリネットの良い音の人を聴き比べて音色を改善していきましょう。

まとめ

・クラリネットの音色を良くするには良い音を知ることからはじめましょう。

・クラリネットのきれいな音色には絶対的な答えがありませんが、「響きがある」「鳴りムラがない」「雑音がない」「音程が良い」ということは良い音である最低限の条件としてあげられます。

・クラリネットの良い音を知るために効果的な方法は、良い音を生で聴くことです。コンサートを聴きにいったり、レッスンを受けて先生の音を近くで聴いたりして、自分の音との違いを見つけたりしましょう。